
F. W. クロフツの The Cask(1920年)読了(邦題『樽』)。
ロンドンの港で貨物船の荷卸し中、ワインの樽に混じってやけに重くて頑丈な樽が見つかる。クレーンで持ち上げる時にバランスを崩して落っことしたその樽の裂け目からは金貨がポロリ。作業員が樽の中のおがくずを探るうちに、突如そこに人の手が現われる。
通報を受けたロンドン警視庁のバーンリー警部が作業員を伴って現場に戻ると、その樽は姿を消している。荷受人と名乗って樽を持ち去ったフェリックスという男は、ニセの書面を用意したり、途中で同行の作業員を撒いたりと、かなり怪しい。やっとのことで居場所を突き止めてその樽を開けると、なかから若い女性の絞殺死体が出てきた。驚きのあまり気を失うフェリックス。それもそのはず、彼女はパリにいるはずの彼の元恋人だった・・・
完璧に見える被疑者のアリバイ。それを地道な捜査で辿っていくのだが、そのトリックは言うに及ばず、時間と場所が交錯するなかでのプロットの構成が素晴らしく、まるで堅牢な建造物を見ている気がする。
Freeman Wills Crofts,
The Cask
(Kindle)