Year In, Year Out ~ 魚花日記

ロッドビルド(ロッドビルディング)や釣り、レザークラフト、食べ歩きや旅行、クラシック音楽や本、美術館巡りと、日々のあれこれを雑多に綴ります。※2025年4月にgooブログから引っ越してきました。記事への直接のリンクが切れている場合は、お手数ですが「検索」欄にキーワードを入力して検索してください(スマホ版では記事一覧の下に「検索」欄があります)。

ワシントン ナショナル・ギャラリー展 (国立新美術館)



乃木坂の国立新美術館で開催中の「ワシントン ナショナル・ギャラリー展」に行ってきました。

パンフレットにも「これを見ずに、印象派は語れない。」とありますが、まさにその言葉にふさわしい、圧巻の展示でした。

印象派を中心に、その少し前のコローやクールベ、ドービニーから展示が始まり、まずはマネの作品群で一驚。


エドゥアール・マネオペラ座の仮面舞踏会」油彩/カンヴァス、1873年

誰にも描けない、マネの黒。昨年三菱一号館美術館で開かれたマネ展でも、個人的に最も惹かれたのはこの黒でした。

その後、印象派の画家たちの作品が並ぶのですが、そこはちょっとパスして、最後の展示室でへたり込みそうになったのが6点並ぶセザンヌ


ポール・セザンヌ「『レヴェヌマン』紙を読む画家の父」油彩/カンヴァス、1866年)

どこをどう見ても、歪んでます。一体どこを正面として向き合えば良いのか、いくら眺めていてもさっぱり分かりません。けれど、だからと言ってここから動かしようのない、堅牢なその構図。見たままに絵を描く世界から、さらにその先へ突き抜けようとしている瞬間がここにあります。セザンヌはこの時まだ27歳。


ポール・セザンヌ「水辺にて」油彩/カンヴァス、1890年頃)

50歳を過ぎた頃の作品です。それは写実と言うよりもむしろ、光の煌めきを画布にプロットしたような感じ。まるで水彩画のようなその筆致は、観ていて飽きることがありませんでした。

展示のラストを飾るのはゴーギャンゴッホ。特にゴッホは、自身最後の自画像が来ていたのですが、私はそれよりもむしろその隣にあったこの絵の方が印象に残りました。


フィンセント・ファン・ゴッホ「薔薇」油彩/カンヴァス、1890年)

少し言い方が変ですが、ゴッホにしては非常に穏やかな、何とも言えず清々しい絵です。勿論、そのうねるような筆致は顕在、けれど意外なほど透明感があって、恨みに満ちたようなところが少しも感じられません。これは全く個人的な感想ではありますが、そうとしか表現できないような平穏な空気が伝わってくるようでした。

さて、今回の個人的なベストはこちら。


エドゥアール・マネ「道化役者」カラーリトグラフ/白の網目紙(第2版)、1874年)

今回は油彩とともに「紙の上の印象派」と銘打って、紙の上に描かれた作品がたくさん来ていたのですが、その中のこのマネのリトグラフには、文字通り度肝を抜かれました。

片方の足を軸にして、もう一方の足を軽く前に出したその軽やかさ。けれど、明らかに重力が下に向いていると感じざるを得ない、自然の安定感。その構図とバランスがあまりにも完璧で、道化役者の他のポーズが考えらないほど。しかも、100年以上も前に刷られたとは思えないほどその色彩は鮮やかです。

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こうした作品は、作品の保護のためもあって普段はなかなかお目にかかれるものではないと思うのですが、全く下調べや予備知識なしにこの作品に出会えたことが本当に幸せでした。

展示は9月5日まで。出来ればもう1回は行きたいと思っています。

ワシントン ナショナル・ギャラリー展
国立新美術館
2011年6月8日~9月5日