
今年になって少しずつ日本酒を飲むようになって、日本酒にも造った年度があることを初めて知りました。
それはBY(Brewer's Year=醸造年度)と言うようですが、言い換えるとそれは、もともとは大多数の日本酒がその醸造された場所や地域でローカルに、かつ醸造されたその年度内に消費されることが前提となっている所以だと思います。
さて先日のとある週末、いつも通っている酒屋さんに行った時、「今年の分はこれが最後のロットなんですよ」と言われて見せて頂いたのがこちら。
何でもその酒屋さんで今年(も)超ブレークしたのがこの蔵元。一年を通して色々なバージョンが出たようですが、その度にとても人気で、あっという間に売り切れてしまったのだとか。

愛山というのは使われたお米の銘柄だそうで、もともとは兵庫県で開発されたそうです。
精米歩合は65%となっていますが、

飲んでみるとびっくり。
1本前の八仙が残り少なくなった頃から比較のために並べて飲み始めたのですが、そんなことをする必要もないくらい、明確に異なります。
八仙の記事で「華やかで艶やか」と書きましたが、それに比べるとこの鍋島は、華やかさでは八仙には劣ります。しかし、例えば舌と喉と鼻をひとつの空間と考えると、八仙が鼻の高いところに香りを残すと同時にその下半分にもどっしりと味を残すのに対し、この鍋島は極めて上の方、鼻腔に近いところ一帯だけに味と香りが貼り付いた感じがします。
それは一歩間違えると非常に薄っぺらく軽い、ライトな飲み口です。しかし同時にそれはとても洗練されていて、舌や喉で味わうと言うよりは、鼻で味わうという感じがします。
この辺りは個人の好みにもよるのでしょう。華やかさを持ちつつ、米麹の香りを舌にどっしりと感じさせる、言わば縦に幅のある八仙も良し。あくまでもライトに、かと言って深みがない訳ではなく、洗練され透明感のある香りと、キレのある潔い後味が身上の鍋島も良し。
もうそろそろ23BYの新酒が出る頃ですが、引き続き勉強を続けたいと思います。

富久千代酒造有限会社
佐賀県鹿島市浜町1244